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テスラの電池 [リチウムイオン電池]

こんにちは、亀仙人です。



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航続距離500kmのテスラが電気自動車の最先端を走っているような印象を受けますが、
内容は眉唾(笑)です。

EV先進国の日本で、日産リーフは閑古鳥が鳴いているのにテスラには行列ができる
のは、このあたりのアピールがうまいからかもしれません。

ただしこのテスラ、幅は2200mmを超え、重量は2.6tもあるので相当でかいです。
都心にあるような立体駐車場では駐車できないそうです。

また、航続距離は500km超ですが、その充電にかかる時間は24時間を超える(笑)
ため、一泊二日で東京~名古屋を往復できません。


Pana18650.jpg


さて、この話題満載のテスラEVですが、その心臓部である電池は18650と呼ばれる
単三電池を大きくしたようなものが数千本搭載されています。主としてノートPC向けに生産されて
いる標準品なので、圧倒的な生産量を背景にコスト・品質(個々のバラつき)については高次元で
達成されています。(特にP社製ですので・・・)

しかし1セル当たりのサイズと容量が規定されているため、EVに応用するためには
これを直列・並列に接続して電圧と容量を稼ぎ出さなければなりません。

ここである懸念が浮上します。
一般的にリチウムイオン電池のセルを直並列にする場合には、一旦並列にして容量を
確保してから、その塊を縦に直列にしていきます。これはセルの性能のバラつきが
出にくいようにするためです。

超大量生産品ですので初期性能のバラつきはほぼないと言ってもいいレベルにあります。
しかし、充放電を行なって経年劣化が進んでいったとしたら、もはや性能レベルは均一では
ありません。同一ロットなら似たような傾向にあるかもしれませんが、それも統計レベルの
話です。

経年変化が進んでいって個々のセルの特性にバラつきが生じると、この最初に並列に接続
したモジュールの内部でも個体差が出てきます。しかし、並列に接続したものの個々の
セルはもう個別には制御できないので、ここからは劣化がどんどん促進されることに
なります。

何年持つかはわかりませんが、18650セルを数千個も積み上げて実現したバッテリシステム
だからこそ、コストを抑えることが出きた側面もありますが、一旦劣化が始まると
それが足枷となって選択肢がなくなっていきます。


テスラはバッテリマネジメントシステムで個々のセルを監視して、劣化が認められたセル
を早期に検出して交換するようにサジェストを出せる。最先端のITシステムを構築して
いるので問題ないと言っていますが、はたしてそうでしょうか?

バッテリマネジメントはどのEVも搭載していますので、ITかどうかはそれをリモートで
本社が把握しているかの違いだけで、検出の中身のレベルは変わりません。
ITというとなんか魔法のテクニックのように聞こえますが、無線LANや移動体通信の
技術が進歩したおかげで車両1台1台がインターネットに接続可能になっただけです。

インターネットにつながった端末を本社が遠隔監視できるのは当たり前で、昔はこの
通信網の構築にべらぼうなコストが掛かって現実的ではなかったのです。
(自動販売機にPHS端末を搭載とかやったことがあります)


さて、セル交換をサジェストされたとして、ユーザーはどうするかというと、当然ディーラーに
持ち込むことになります。しかし数千個の18650セルで構成された電池ですから、この中の
1セルだけを交換というのは現実的ではなく、十数個程度に別れたサブモジュールのうちの
一つをを交換することになるでしょう。

そのサブモジュールは車体の隙間を縫うような形をしているはずで、1個ずつが異なる
形状である可能性が高いです。ということは、メーカーは複数(多数かも?)の電池サブ
モジュールを生産・管理・在庫しなければならず、車種展開すればするほど種類が
増えていきます。果たして長期間に渡ってこの体制を維持できるでしょうか?


また、電池セルは生産ロットによっても微妙に個性(バラつきともいう)を持ってしまう
可能性があります。このバラつきは「高度なIT技術(笑)」によるバッテリマネジメントシステム
で解消される(はず)予定です(笑)。

もっと心配なのは、18650セルは世代によって進化してきているため、同じサイズでも
どんどん容量が増えています。先の話で交換用の部品を用意するとして、一度採用された
セルはずっと同じ容量のセルを確保しないといけないという縛りを受けることになります。

リチウムイオン電池の世界の進歩は思ったよりも早く、ここ5年程で驚くほど変化
しました。これを最低でも向こう20年以上は継続していかないといけないことになります。

EVという耐久消費財を世に出すというのはそういうことだと亀仙人は思います。



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